2012年5月8日火曜日

Windows はなぜ使いにくいのか?

Windows は使いにくい。Windows 8 がまもなく登場するが、このことはどうにも直りそうもない。現在、Windows に影響された開発者によって設計された、使いにくいシステムが乱造され、社会に害悪が撒き散らされている。普段から Windows を使っていれば、そのひどさに気付くことができないまま、システムを設計してしまうからだ。開発者は Windows を使うべきではない、というのが私の信念である。

Windows がもっともだめな点は、メンタルモデルが形成しにくいところにある。メンタルモデルとは、ユーザの頭の中にある「こいつはこういう動きをする」というモデルである。ユーザは、そのモデルに基づいてシステムの動きを予測し、操作する。メンタルモデルは、実際の仕組みと一致している必要はなく、ユーザ独自の世界観でかまわないが、外部から観測可能な振る舞い(こういう操作をしたら、こういう結果になる)は一致している必要がある。ユーザは、システムを使いながらメンタルモデルを獲得し、システムに馴染んでいく。ユーザの予測を裏切らないことが、「使いやすさ」の必要条件の一つである。

具体的な例を見よう。C:¥Program Files の中にあるアプリケーションのアイコンを、デスクトップにドラッグ&ドロップしてみる。手近にあった Safari で試してみる。

Explorer でのドラッグ&ドロップは、通常はファイルの移動である。これがユーザが最初に獲得するメンタルモデルである。アプリケーションをドラッグ&ドロップすると、デスクトップにショートカットが作られるというのは、メンタルモデルに反する極めて奇妙な振る舞いであるが、とりあえず、Windows はそういうものだと納得するしかない。これが、Windows を使い続けて、少し修正されたメンタルモデルである。

次に、TeraPad のアイコンを、デスクトップにドラッグ&ドロップしてみる。

今度は、移動になる。私は、メンタルモデルに従って、ショートカットが作成されるものと期待していたにも関わらずである。一体、いかなる違いによって、このような振る舞いになるなのか、全く理解不能である。もちろん、何か理由はあるのだろうが、多くのユーザがそれを理解し、メンタルモデルを修正することができるのだろうか? 仕方がないので、アイコンをドラッグして、出てくる「移動」や「リンクを作成」のメッセージに頼ることになる。つまり、事前に結果を予測することはできず、「やってみるまで何が起こるか分からない」のである。

では、最後に、C¥Program Files¥Safari フォルダの中にある、すべてのファイルやフォルダを選択し、デスクトップにドラッグ&ドロップにしてみよう。どうなるだろうか。私のメンタルモデルに基づく仮説は「アプリケーションはショートカットが作成され、その他のファイルやフォルダは移動される」である。実際にやってみたところ、なんと Safari のアプリケーションを含めて、すべてのファイルとフォルダが移動された。もはや、メンタルモデルどころの話ではなくなっている。

なぜ「移動」で一貫できなかったのか、甚だ疑問である。Windows には、このように「場当たり的に」作られた機能が数多くあるのだ。場当たり的であるが故に、メンタルモデルが継ぎはぎだらけになってしまう。これこそが Windows の使いにくさの原因である。

(不定期に続く)

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